OB・OG訪問のアポイントをとる時、インターンの応募をする時、企業面接や人事担当にメールを送る時など、就職活動のさまざまなシーンで、正しいビジネス敬語を使えていますか?
もしかすると、自分では正しいと思っていた敬語やマナー、間違っているかもしれません。
面接やビジネスの場で、正しい言葉遣いができていないと、与える印象が変わることもあります。
せっかくの内定を取りこぼしてしまわぬよう、TPOに合わせた言葉を選んで、好印象を残しましょう。
今回は、就活生が間違えやすいビジネス敬語の注意点についてご紹介します!
就活中の敬語を使うシーンとは?
就活中、言葉遣いや受け答えが悪いと、志望動機や自己PRがどんなにしっかり作成されていても、評価がマイナスになります。
たとえば、就活中は下記のようなシーンで、正しい言葉遣いが重要です。
- インターンで社会人の先輩と話すとき
- 企業に問い合わせなどを行う電話やメール
- OB・OG訪問のアポイントをとる時の電話やメール
- OB・OG訪問当日に直接話すとき
- OB・OG訪問後のお礼メール、内定報告のときなど
- 企業面接で話すとき
- ESに記載する内容
- 内定先の企業に連絡をするとき
ESをチェックする人事担当や、面接の担当者は、これから同じ職場で一緒に働きたい、と思う人を採用します。
そのため、受け答えやビジネスマナーに失礼が無いようにしたいですよね。
企業に送るメールなどは、一度社会人の先輩にチェックしてもらったり、インターネットでサンプルの文章を探してみてもいいかもしれません。
もちろん、正しい敬語を使うタイミングは就活中に限ったことではなく、入社後に職場の先輩や取引先のお客様などの目上の人と話す際も同様です。
社会人の先輩は、日常的にビジネス敬語を使用しているため、間違った言葉遣いやマナーにはしっかり気づきます。
学生のうちに完ぺきなビジネスマナーを身に着けることは難しいですが、インターンへの参加や、面接練習などを行うことで、事前準備もできるでしょう。
話の内容や過去の経験がどんなに立派なものでも、印象の悪いマナーや言葉遣いが悪い評価につながってしまうことがありますので、十分注意しましょう。
面絶時の敬語のポイント
それではまず、面接時に注意したい敬語のポイントについてご紹介します。
ここでご紹介している敬語のマナーは、面接のみならずメールやビジネスシーンでも活用できるものですので、しっかりチェックしておきましょう。
1.敬語の種類
敬語には、尊敬語、謙譲語、丁寧語の3種類があります。
たとえば、「~する」という動詞を3種類に当てはめると、このようなイメージです。
- 尊敬語:~なさる、‘~される
- 謙譲語:~いたします
- 丁寧語:~します」
ビジネスで大切になるポイントは、謙譲語と尊敬語の違いです。
詳しくご紹介していきます。
面接でよく使う尊敬語
尊敬語は、目上の人に対し、相手を立てる際に使用します。
目上の人、たとえば社会人の先輩や上司など、相手の行為について話す際に使用します。
<動詞>
- する…される
- 聞く…お聞きになる
- 言う…おっしゃる、言われる
- 見る…ご覧になる
- 会う…お会いになる
- 行く…おいでになる、いらっしゃる
- 食べる…めしあがる
- 座る…おかけになる
<接頭辞を名詞につける>
- お仕事
- ご家族
- 貴社
- 御社
- お考え
- お気持ち
よくある言い間違えとしては、就活生が自分の行為について話す際に、尊敬語を使ってしまうことです。
「私はそれをお聞きになったのですが~」
「私は、〇〇さんにお会いになりました。」
「私のご家族」
このように自分の行為や状態などについて、尊敬語は使いません。
必ず目上の人の行為や状態について話す際に使用するようにしましょう。
面接でよく使う謙譲語
謙譲語とは、目上の人に対して使い、自分をへりくだる時に使用します。
<動詞>
- する…させていただく
- 聞く…うかがう、拝聴する
- 言う…申し上げる
- 見る…拝見する
- 会う…お目にかかる
- 行く…うかがう、参る
- 食べる…いただく
- 座る…座らせていただく
<接頭語・接尾語をつける名詞>
- 私ども
- 弊社
- 拝見
- 拝受
尊敬語とは異なり、間接的に相手を高めるために使用する敬語です。
「弊社にいらしてください」「ホームページを拝見しました」「〇月〇日にうかがいます」など、自分の動作や状態に使用します。
間違えやすい使い方としては、「〇〇様が参られました」「~と申されていたのですが」など、丁寧に聞こえても矛盾した言い方をしてしまうことが多いので、注意しましょう。
丁寧語
丁寧語は、話す相手や内容にかかわらず、丁寧な表現をして敬意を示したいときに使用します。
就活生の皆さんにとっても、身近な敬語ですね。
<動詞>
- する…します
- 聞く…聞きます
- 言う…言います
- 見る…見ます
- 会う…会います
- 行く…行きます
- 食べる…食べます
- 座る…座ります
<「です」「ます」「ございます」をつける>
- あちらが会議室です
- 私が〇〇でございます
<名詞に「ご」「お」をつける>
- お名前
- お名刺
- ご到着
- ご着席
- ご案内
相手や内容を問わず使用できるため、メールなどでは基本的に丁寧語を使いましょう。
どの敬語を使えばいいか迷ったら…
尊敬語と謙譲語、どちらを使用するのが正しいのか迷ったら、話す内容のうち、誰の行動について話すのかを考えてみましょう。
尊敬語は相手の言動や行為を述べるとき、謙譲語は自分の言動や行為を述べるときに使用します。
このポイントをおさえておけば、間違った言葉遣いを避けられますので、ぜひ覚えておきましょう。
2.就活生が間違えやすい敬語のマナー
敬語の種類についてチェックできたら、次は面接でよく就活生が使ってしまう誤ったマナーについてご紹介します。
特に学生時代のアルバイトや、大学の講師、研究室の教授や先輩に対しては、ビジネスで使用するものとは異なる、不自然な敬語を使用してしまっているケースがあります。
不自然な敬語を作る要素を2つご紹介しますので、ぜひチェックしておいてください。
二重敬語に注意
違和感のある敬語の代表として挙げられるのが、二重敬語です。
こちらは、敬語を二重に重ねて使用してしまうことを言います。
たとえば、下記のようなものがあります。
- お伺いさせていただきます
- 部長が~とおっしゃられた
- 拝聴いたしました
- お召し上がりになられる
二重敬語の例に、違和感は覚えられましたでしょうか?
これれはすべて、2つ以上の敬語が重ねて使用されてしまっています。
分解すると、下記のような組み合わせです。
- お伺いさせていただきます…伺う+いたす
- 部長が~とおっしゃられた…仰る+される
- 拝聴いたしました…拝聴する+いたす
- お召し上がりになられる…お+召し上がる+られる
できるだけ丁寧に話そうと思うと、丁寧になりすぎてしまい、間違った敬語を使ってしまいがちですので、注意しましょう。
アルバイト敬語
アルバイトでよく使用される「アルバイト敬語」は、敬語の用法として正しくないものがいくつかあります。
代表的なのは下記のようなものです。
- ~になります
- ~のほうで
- ~でよろしかったでしょうか
- 〇〇円からお預かりします
これらは、接客業界で使用されることが多い、特徴的な日本語表現です。
これらの表現を接客用語としてマニュアル化している企業もあることから、「マニュアル敬語」と呼ばれることもあります。
アルバイトで得られる接客経験やビジネスマナーは、社会人になってからも生かせることがたくさんありますが、言葉遣いについては日頃から意識しておきましょう。
3.面接で間違いやすい言葉遣い・マナー
面接の際に気を付けるべきマナーや、言葉遣いをご紹介します。
OB・OG訪問の際やインターン時にも活用して、面接本番に備えて癖づけておきましょう。
一人称は「わたし」「わたくし」
ビジネスの場では、「自分」「僕」「俺」のようなカジュアルな一人称は使用せず、「わたし」または「わたくし」を使いましょう。
「わたし」よりも「わたくし」の方がより丁寧な印象を受けますので、面接には適しているでしょう。
応募先の企業は「御社」
面接では応募先の企業について言及する場合も多いですが、その際には「こちら」「そちら」などの指示語ではなく、「御社」を使用しましょう。
企業名を挙げて話すことも、ビジネスマナーには適していません。
また、メールやESなどの書面で応募先の企業を指す場合には、「貴社」という表現を使いましょう。
「大変参考になりました」
「参考」という言葉は、相手の考えを自分の足しにする、という意味を持つため、目上の人に使うことは避けましょう。
ためになる話を聞けたときには、「勉強になりました」「おかげで学ぶことができました」などを使いましょう。
「了解しました」「ご苦労さまでした」
こちらはアルバイト敬語でも使われることがありますが、こちらも立場が下の人に対して使う丁寧語になるため、目上の人に使うことは避けましょう。
正しくは、「承知いたしました」「お疲れさまでした」を使用しましょう。
会話の合間にフィラーを使わない
フィラーとは、文章の隙間を埋める無意味なつなぎ言葉のことです。
「えー…」「あー…」「えーっと…」などがあり、会話や面接の際にフィラーを連発すると、相手に悪い印象を与えやすいとされています。
普段の生活から、フィラーの使用を避けるよう意識しましょう。
語尾を伸ばさない
会話の際、「ですー」などと語尾を伸ばしたり、「~でぇ…」「~のぉ…」「~がぁ…」と助詞を伸ばしてしまう癖がある人は、注意しましょう。
目上の人との会話の際に、失礼な印象を与えないよう、普段から気を付けましょう。
ビジネスマナーで気を付けたいこと
ビジネスマナーにおいて、双方がコミュニケーションに快適さを感じられるよう気を遣うことは非常に重要です。
その際には、正しい敬語を使ったり、受け答えや表現に気を付けるようにしましょう。
就活の時点から、OB・OGや面接官、企業担当の方に失礼のないよう意識することが大切です。
ここでは、目上の人との快適なコミュニケーションに大切なポイントを3つご紹介します。
クッション言葉を的確に活用する
ビジネス敬語の中には、クッション言葉と呼ばれるものがあります。
直接本題に入る前に、クッション言葉を添えて相手を気遣い、快適に会話が行える雰囲気を作り出します。
代表的なものとしては、下記が挙げられます。
- 恐れ入りますが~
- お忙しいところ申し訳ございません
- お手数をおかけいたしますが~
これらは、電話やメールで先輩に何かを依頼する際や、入社後に取引先と会話をしたりする際にも活用できます。
たとえば、このような使い方がビジネスシーンでは一般的です。
- よろしければ、〇〇について伺えますか?
- 恐れ入りますが、〇〇につきましてはお答えできません
- 失礼ですが、〇〇様でいらっしゃいますか?
- お手数をおかけいたしますが、ご対応のほどよろしくお願いいたします
言いにくいことを伝える際や、質問をする際にも使用できます。
こちらを一言添えるだけで、コミュニケーションのスムーズさが変わりますので、ぜひ活用してください。
婉曲話法を使う
婉曲話法という言葉をご存じでしょうか?
「婉曲」とは、直接的な表現を避け、遠回しに相手にものごとを伝えるための表現方法です。
面接時に「お茶とお水、どちらが良いですか?」と面接官から質問をされた際に、「お茶が嫌いなのでお水をお願いします」と回答してしまうと、否定的な印象を受けますよね。
こちらを、「お茶があまり得意ではないので、お水をお願いします」と答えることで、印象がガラッと変わります。
後者は角の立たない婉曲的な表現で、印象が良いです。
ぜひ面接やビジネスのシーンでは、ストレートな表現よりも、相手を傷つけないようなコミュニケーションを意識しましょう。
郵送物の宛名について
ESやメールを応募先の企業に送る際に、宛名の書き方に困ったことはありませんか?
よく見かける「御中」ですが、こちらは会社名・団体名につけるものです。
送り先の担当者名がわからない場合に、「株式会社〇〇 人事部御中」といった形で使用します。
また、担当者名がわからないが個人宛に送付する場合には、「様」を使用しましょう。
使用方法は、「株式会社〇〇 人事部 採用担当者 様」などです。
「宛」「行」などの宛名があらかじめ返信用封筒に印刷されている場合、これらを二重線で消して、個人宛の場合「様」、会社・団体宛の場合「御中」と記入してください。
また、担当者の名前がわからず、役職のみがわかっている場合に、「課長」や「部長」に様をつけてしまうと、役職名自体に相手への尊敬の意味が含まれているため、先述の二重敬語と同様に不自然な敬語表現になってしまいますのでご注意ください。
まとめ
今回は、就活生が間違えやすい敬語をご紹介しました。
正しい敬語表現を身につけることで、就活中のみならず、入社後のビジネスシーンでも活用できます。
一朝一夕で身につくものではありませんので、ぜひ本記事の内容を参考に、事前に正しいビジネス敬語やマナーを癖づけておきましょう。
しっかりと準備して臨めば、その姿勢は面接官に評価されるはずです。