就職活動を始めた時に、最初に考えることは「自分がやりたい仕事は何だろう?」ということではないでしょうか。
・やりたいこと、やりたい仕事が見つからない
・志望業界や企業を決められない
・どんな仕事が自分に合っているのかわからない
そんな悩みを抱えている就活生は、実は非常にたくさんいます。
今回はそんな「やりたいこと」が見つからない方向けに、そもそも「やりたい仕事」とは何か?ということをはじめ、見つからない理由と見つけるための方法などをご紹介します。
「やりたい仕事」とは?
「やりたいことがない」ことは珍しくない
まず、知っていただきたいこととして、明確に「やりたい仕事」がわかっている就活生や、「やりたいこと」を仕事にしている社会人が、多くはないということです。
ある年のマイナビが行ったアンケートデータでは、「好きなことを仕事にしている」と回答した人は回答者のうち約40%です。
この結果から、誰もが自分の理想の仕事を実現しているわけではないのです。
たとえば、企業規模の安定性や待遇面を重視して入社し、働く中でスキルを身に着け、自分の働き方を客観視できるようになった結果、別の会社や仕事に転職する人もたくさんいます。
まだ働いたことがない学生が、就職活動の時点で自分に合った働き方や会社を見つける、ということ自体がとても難しいことです。
「やりたいこと」が見つからず、就活の目的が「就職すること」に変わってしまう学生がいますが、それでは自分に合った働き方の実現は難しくなるでしょう。
周りの就活生の様子を見て、焦って仕事や会社を探したり、やりたいことが見つからない自分に悲観的になる必要はありません。
まずは肩の力を抜いて、自分について見つめなおしてみましょう。
無理に「やりたいこと」を見つける必要はない
就職活動の目的は、「自分に合った企業を見つけて、入社後のミスマッチを回避すること」です。
ミスマッチを引き起こさないためにも、自分の本心を整理できでいない状態で、無理に「やりたいこと」をひねり出す必要はありません。
ネームバリューだけに注目したり、口コミに流されて受ける企業の志望動機は内容が薄くなってしまい、採用担当者も熱意を感じられず良い結果を生みません。
また、面接の感触が悪いと自分に自信を持てなくなりかねませんし、運よく内定が出た場合にも、仕事内容や環境が合わず、長く働くことができない可能性もあります。
まずは自己分析の方法を変えてみたり、他己分析をしてもらったり、他の人とは違う方法でも良いので、自分について理解することが重要です。
「やりたいことがないこと」をひとつの武器と考え、こだわりや先入観を持たずにさまざまな業界や仕事、企業について調べてみるのも良いでしょう。
その他にも、やりたい仕事を見つけるチャンスや方法はいくつかあります。
今回は、その方法をご紹介していきますので、参考にしてみてくださいね。
「やりたいこと」が見つからない理由
「やりたいこと」が見つからない人は実は多い、ということをご紹介しました。
では、なぜ見つからないか?ということについて、考えてみましょう。
ご自身に当てはまる項目があれば、ここでご紹介する内容を参考にしてみてください。
自己分析ができていない
就活の最初のステップとしてよく聞く「自己分析」ですが、どうやったらいいかわからない、と感じている就活生も多いのではないでしょうか。
自己分析は、自分がどんな性格で、どんな環境がフィットしやすく、どんな価値観で仕事をしていきたいかを知る機会となり、企業選びの軸にもつながります。
自己分析の方法はさまざまですが、書籍を購入してみたり、大手就活サイトの自己分析ツールを活用してみても良いでしょう。
また、自分でできる自己分析の方法としては、マインドマップ、ジョハリの窓、モチベーショングラフ、SWOT分析、自分史の書き出しなどが一般的です。
自分のことを良く知っている家族や友人の力を借りて、他己分析をしてみるのもおすすめです。
自分の個性を活かせる仕事の方がわかれば、やってみたいと思えるかもしれません。
たとえば、「人と話すことが得意、コミュニケーション能力が高い」という長所がわかったら、営業職に向いているかもしれません。
営業とはどんな仕事か?やりがいは何か?働き方は?ということを調べてみて、自分に合っているかどうかを考えてみましょう。
自己分析で他の長所・短所・価値観などが明らかになっている場合、営業職が合っているのかどうか、またどの企業が合っているのかどうか、照らし合わせてみましょう。
働くことに対する価値観が定まっていない
自己分析で見えてくる要素のひとつでもありますが、どんな仕事がしたいのか、ということが定まっていない就活生も多いです。
まずはどんな業界、どんな仕事があり、どんな働き方ができるのか、ということを知るために、業界・企業分析をすることも重要です。
〇人に感謝される仕事がしたい
〇海外で活躍できる仕事がしたい
〇地域に密着している仕事がしたい
〇将来ひとりで独立できる仕事がしたい
〇チームで作業をする仕事がしたい
〇将来拡大する技術を身に着けられる仕事がしたい
〇待遇が良い会社で働きたい
〇プライベートも充実できる働き方がしたい
具体的な業界や職種が定まらない人は、まずは仕事に対して抱いている希望や、理想の働き方について考えてみましょう。
志望企業の環境が、理想の働き方の価値観に当てはまるかを、それぞれチェックしてみてください。
周囲の影響を受けやすい
周囲の就活生の様子を気にしすぎると、自己分析や企業分析がまとまりきっていない段階で焦ってエントリーをしてしまったり、志望動機が固まっていない状態で面接を迎えてしまいかねません。
就活はひとりひとりペースが違いますし、方法も異なりますので、口コミや周りの就活生と同じことを同じスピード感で行う必要はありません。
まずは自己分析を深掘りして、自分がやりたいこと、自分に合っている仕事を考えてみましょう。
また、周囲からの見られ方を気にしすぎてしまう人も、やりたいことを見つけにくくなってしまう可能性があります。
せっかく興味のある分野や、興味のある業界・仕事があっても、就職先のネームバリューが気になってしまうと、大手企業だから、有名企業だから、という理由だけで企業を探してしまい、ミスマッチが起こりやすいです。
まずは自己分析で企業選びの軸を固めて、一番重要な条件は何か?を自分に問いかけ、優先順位を決めましょう。
自分のやりたいことに挑戦したいと思ったら、周囲の視線を気にする必要はありません。
自分自身が納得できる就職活動にしましょう。
「やりたいこと」を見つける7つの方法
具体的な志望企業を見つけることは難しくても、仕事内容や働き方の方向性を大まかに決めて、やってみたいことを見つけることはできるかもしれません。
今回はやりたいことを見つけるヒントになりそうな方法を、いくつかご紹介します。
「モチベーションの源は何だったか?」を振り返ってみる
まずは、「自分史」を作成してみましょう。
自分史とは、小学校頃から現在までの自分の人生を年表などの形式で振り返って書き出してみる自己分析の方法です。
その中で、「自分の行動のモチベーションの源は何だったのか?」を考えてみましょう。
たとえば、「小学校の時に○○委員会に入った」という自分史が作成できたときに、
・なぜ○○委員会に入ったのか?
・○○委員会で一番やりがいのあったことは何か?
・○○委員会で一番嫌だったことは何か?
などを書き出してみるのです。
委員会に入った理由について考えたときに、「人の役に立ちたかったから」「こんな仕事をしてみたかったから」という理由が出てきたら、それは自分のモチベーションの源です。
自分史の中の要所で自分が決断したこと、とった行動とその理由を振り返ることで、過去だけではなく、未来の自分にとっても活かせる自分の価値観が見えてくるでしょう、
自分史を通して見えてきた、自分のモチベーションの源は、今後の社会人生活にも重要なポイントとなりますので、活用してみてください。
OB・OG訪問を活用してみる
実際に働いているOB・OGの経験談を聞くことも、やりたいこと探しの一つの手段です。
先輩達はどうやって現在の仕事に出会ったのか、どんな軸を持って就活をしていたのか、やりがいを感じることは何か、など生の声を聞いてみることで、インターネット上では得られない気づきを得られるかもしれません。
先輩の話に共感できる部分があれば、自分自身のやりたい仕事につながる可能性もあります。
もちろん、「やりたいことが見つからない!」と直接的に相談するのは、関係性によっては失礼にあたる可能性もあるので、しっかり事前質問などの準備はしておきましょう。
インターンシップに参加する
実際のところ、学生が働き方について具体的にイメージするのには限界があります。
悩んだときには、インターンシップに参加して、働くことを疑似的に体験することをおすすめします。
実務に近い経験を積んだり、社会人とコミュニケーションをとりながらオフィスに身を置いてみる経験は、インターンシップに参加することで得られるでしょう。
短期のものよりは、長期インターンシップに参加することで、より実務に携わるチャンスも増え、やりたいことや向き不向きが見えてくるでしょう。
また、社会人の働く姿を見て「こんな社会人になりたい」と思えたり、「こんなオフィスで働きたい」といった具体的なイメージをしやすくなります。
業界・企業研究を深める
就活生の中には、「やりたいことが見つからない」というより、「どんな仕事があるのかを知らない」といった方も少なくありません。
やりたいことが見つからない理由でもご紹介しましたが、まずは情報を収集して視野を広げてみるのはどうでしょうか。
「営業」「事務」「マーケティング」などはよく目にする職種ですが、実際に仕事の現場では職種はさらに細分化されており、調べてみることで自分では思いつかなかった職業を知ることができるかもしれません。
たとえば、「IT業界」という単語だけを見ると、「むずかしそう」「理系や工学系の学生が行く業界」「機械が苦手だから無理…」と敬遠してしまう方がいます。
しかし、最近は生活のさまざまな部分がIT化されており、誰もが目にする身近なところにITが使用されています。
ITサービスをつくるエンジニア職は、プログラミングなどの専門的な知識が必要とされますが、ITサービスを売ったり魅力を伝える営業職、お客様の問い合わせに対応するカスタマーサポート職、企業にITサービスを使った業務改善を提案するITコンサルタントなど、業界でひとくくりにしても職種はさまざまです。
上記の職種は文系・理系問わず募集が行われていますし、業界の平均年齢も若いので、これまでにない新しいサービスに関われるチャンスがたくさんあります。
自分に合いそうな企業、興味を持てるサービスを提供している企業を見つけるためにも、自己分析と合わせて、業界・企業研究はしっかり行いましょう。
やりたくない仕事、なりたくない社会人像を洗い出してみる
「やりたい仕事」が見えなくても、「やりたくない仕事・働き方」はイメージできている学生もいるのではないでしょうか。
前述した「自分史」の中で、「やりたくないと感じたこと」「自分に向いていないと感じたこと」を書き出してみることで、やりたくない仕事の基準がわかるかもしれません。
たとえば、「ひとりで黙々と作業をすること」を苦手だと感じたなら、事務的な作業が多い仕事や工場での製造の仕事などは選択肢から外すことができます。
「数字やデータを扱うこと」が向いていないと感じたなら、過去の数字やデータをもとにするマーケティング業務などは合わない可能性があります。
また、なりたくない社会人像として、「ノルマに追われる」「残業時間が多い」「転職頻度が高い」といったことにネガティブなイメージを持つ方は、企業を選ぶ際に、これらの条件に当てはまるところは選択肢から消去できます。
視点を変えて、本音ベースで「やりたくないこと」「なりたくない社会人像」を洗い出すことで、選択肢をせばめることができます。
身につけたいスキルから考える
やりたいことがないことに悩む方は、将来身につけたいスキルから企業や職種を選ぶのもひとつの方法です。
たとえば、どんな職種にも適応できるビジネススキルとして、「ポータブルスキル」があります。
厚生労働省によると「持ち運び可能な能力」と定義されており、個人が持っているコミュニケーション能力や、専門知識、課題解決のスキルなど、ビジネスに汎用的に応用できるスキル全般を指します。
社会人としての基礎的な能力と、重宝される専門的な能力のいずれも持ち合わせておくことで、どんな会社でも通用する人材となり、将来さまざまな仕事にチャレンジしやすくなります。
こんなポータブルスキルを身に着けることができそうな会社選びをするために、入社後の環境や研修内容を調べたり、活躍している社会人の先輩の話を聞いておくというのも良いでしょう。
また、ビジネススキル全般でなくとも、「プログラミングスキルを身につけたい」「決算業務に携わりたい」「経営者の思考を身につけたい」など、将来身につけたい専門的なスキルから逆算して、そのスキルを身につけられる会社や職種を探してみましょう。
興味のあるキーワードで仕事・企業を検索してみる
具体的な企業や仕事が見つからない方は、就活サイトやインターネットの検索ボックスに、自分の興味のあることや趣味を入れて、キーワード検索してみましょう。
就活サイトにはフリーワード検索機能があることがありますので、こちらを活用してみてください。
たとえば、「アニメ」というキーワードを入力して検索してみます。
検索結果には、アニメ・ゲームの制作会社、作品のホームページなどを作成する会社、音響制作会社、ゲームセンターの運営会社、イベント制作会社、グッズ制作を行っている企業など、さまざまな形でアニメにまつわる企業が表示されます。
業界を指定して検索する場合と比較して、イベントやグッズ、ゲームなど、など検索結果に表示される企業の幅が広がります。
趣味や興味のあるものがすぐに思いつかない場合には、身の回りにある家具や架電、好きな食事のメニューなど、目についたものを検索してみるだけでも、思いがけない企業との出会いがあるかもしれません。
やりたい仕事を見つける際の注意点
自分に向いている仕事や、やりがいを持って働ける会社を見つけられるのが理想ですが、慎重さが必要な場面もあります。
やりたいことが見つかり、やりたい仕事につけたとしても、「もっと向いている仕事があるのではないか」「もっと理想の働き方が実現できる会社があるのではないか」と、考えてしまうこともあるでしょう。
もちろん、現職の会社に不満を感じていたり、改善されない環境に適応できない、ということであれば、転職もひとつの手段です。
しかし、努力を怠って現職の仕事に価値を見いだそうとせず、理想の働き方を求めて転職を繰り返してしまうようでは、社会人スキルを身につけることはできないでしょう。
まずは今の環境でベストを尽くしてみて、適性があるかどうか、やりがいは何か、仕事におもしろさを見つける努力をしてみましょう。
どうしても自力では解決できない問題にぶつかった時には、社内の先輩や上司に相談してみるのも良いかもしれません。
将来の自分への投資として、せっかく出会えたやりたい仕事には、情熱を持って取り組んでみることをおすすめします。
まとめ
「やりたいこと」が見つからず悩む就活生のみなさんの参考になりましたら幸いです。
やりたい仕事を無理に見つけたり、作ったりする必要はありません。
見つからなくても、内定を獲得することはできますし、思いもよらない仕事や企業に巡り合うこともあります。
重要なのは、しっかり自己分析を行い、業界・企業について知ってから、自分に合った方法で納得のいく就活をすることです。