就職活動を始めるとよく耳にするOB訪問。
「OB訪問ってよく聞くけれど、何をするのかピンとこない。忙しい就活中にわざわざする意味もわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一般的にOB訪問とは、自分が就職を希望する企業の先輩社員を訪ねることを指します。自分と同じ大学の卒業生がいるかを調べて訪問を依頼し、許可が取れた後に日程調整を行います。そして当日は、食事やお茶をしながら、実際に働く先輩社員の声を聞くという流れになります。
OB訪問を行うことで、企業の説明会に行っただけでは分からない話が聞けたり、会社・仕事内容について深く理解することができるなど、就活のためのメリットが沢山あります。就活を成功させるためにも、OB訪問はぜひ行っておきたいところです。
忙しい社会人の時間をもらってお話をしていただくのですから、基本的なビジネスマナーを守って、不快な思いをさせたり、失礼のないように進めましょう。
そこで、今回はOB訪問の際に押さえるべきマナーについてご紹介します!
1、OB訪問の事前準備するメリットとは?
OB訪問に行くことが決まったら、まずはその日までに準備しなければならないことを確認しましょう。
ちなみにOBは同じ大学の男性の卒業生、OGは同じ大学の女性の卒業生のことを指します。OGのこともまとめて「OB」と表すこともあり、この記事内でもまとめてOB訪問と記述させていただきます。しかし、なかには「OB」と呼ばれることに違和感を感じる女性もいらっしゃるので、訪問相手が女性の場合は「OG」とした方が無難でしょう。
①企業の下調べをする
OB訪問時の限られた時間の中で、質問を考えながら対話をすることは難しいものです。「緊張して何も思いつかずに、自力で調べたらわかることばかり質問をしてしまった!」
なんて悲劇を避けるためにも、自分が何を聞きたいのかを事前に整理しておく必要があります。
そのための事前準備として、訪問相手の企業や仕事について大まかに下調べをしておきましょう。そのなかで生じた疑問点や興味がある点を洗い出し、そこを詳しく質問することで学びの多いOB訪問ができます。
また相手の今の仕事のやりがいや、出社から退社までの大まかなスケジュール、この会社を選んだ理由、就活をされた際に採用選考で気をつけておいた点、福利厚生などを聞いてみると就活のヒントがもらえやすくなります。
また「産休はどれくらいの期間取得できるの?」「産休後復職している人はどれくらいいるの?」などの質問もしたい場合は、OB/OGの両方に質問するとより内情が聞けるかもしれません。
ただし、OB・OGに関わらずプライベートに関わる内容や、相手が答えにくいデリーケートな内容については、失礼になる場合があるので注意が必要です。
また質問内容を準備していくことはとても大事ですが、リストに沿って一方通行の質問をぶつけないよう注意する必要があります。相手が話してくれた内容に対して感想を述べたり、質問内容を深堀りしたり、対話をするように意識することで、より充実した内容のOB訪問をおこなえるでしょう。
②待ち合わせ場所の確認をする
待ち合わせ場所は、大きな駅で場所もわかりやすいカフェが多いですが、OBの方の会社にお邪魔するケースもあります。遅刻をしないため、OBとの待ち合わせ場所は必ず確認しておきましょう。
たとえ行ったことのある場所だとしても、ルートや乗り換えに間違いがないか再確認をしておくことが大切です。
また、OB訪問の待ち合わせを成功させるために不可欠なのが、「リマインドメール」と呼ばれる、前日の確認メールです。先方が約束を忘れていたり、お互いの記憶に食い違いがあったりする場合もありますので、OB訪問前日にメールで確認しておくと良いでしょう。
リマインドメールを送る際に、自分のことを見つけてもらうための目印を伝えておくと、当日スムーズに合流できます。
③連絡先の確認をする
連絡先は、待ち合わせ場所への到着連絡をする場合に必要になります。当日になって慌てることが無いように、あらかじめ訪問する相手の連絡先を入手して控えておくようにしましょう。そして、相手方にも自分のメールアドレスや電話番号などを伝えておきましょう。
遅刻は絶対にNGですが、交通機関の運行状況などによっては予期せぬ事態も考えられます。遅刻しそうな場合は、迷わずにメールか電話で連絡しましょう。遅刻が確定した時点ではなく、遅刻するかもしれないという段階ですぐに連絡をすることが重要です。
2、OB訪問時に知っておくべきマナーとは?
④待ち合わせ場所へは早めに到着する
遅刻はもちろん厳禁です。待ち合わせ時間の10〜15分くらい前には到着するようにしましょう。会社に訪問する場合は、先方が指定した時間より早く訪問することは相手に迷惑をかける可能性があります。早く着いた場合は、付近の邪魔にならない場所で待機しておいて、5分前になったら受付に行くのが良いでしょう。
また、訪問を切り上げる時間にも注意が必要です。相手の予定を事前に聞いておき、終了時間をオーバーしないようにしましょう。
⑤あいさつ・名刺の受け取り方
相手と会ったら、まずは明るく挨拶をし、大学名と名前を述べましょう。その後に、時間を割いてもらったことへの感謝を伝えましょう。座って相手を待っている場合は、相手が来たらすぐに立ち上がって挨拶をしてください。
就活をするまで名刺は馴染みがなかったかもしれませんが、失礼のない受け取り方を押さえておきましょう。
まず、『立ち上がった状態』で『両手で受け取る』のが基本です。受け取る際には「ありがとうございます。頂戴いたします」と言いましょう。受け取った名刺はすぐにしまわずテーブルの上に自分から見て左側におきましょう。
その際は、名刺を直接テーブルに置くのではなく、自分の名刺入れの上に置くようにすることで、相手への敬意を示すことができます。また訪問中は緊張して、とっさに相手の名前や役職が思い出せないこともあるでしょう。
そんな時に自分の斜め横に名刺があるとすぐに確認ができるので、落ち着いて話に集中できるというメリットもあります。また、もらった名刺はOB訪問後も無くさないように大切に保管しましょう。
⑥清潔感のある身だしなみ
OB訪問の服装に指定がない場合はスーツで訪問することが無難です。ワイシャツ、スーツのシワや汚れに気をつけ、靴はきれいに磨いておくとよいでしょう。髪型や爪など細かい部分にも気を配り、清潔感のある身だしなみで第一印象を大事にしましょう。
私服で良いと言われた場合でも、デニムなどカジュアルすぎるものや、キャミソール露出が多すぎるものは避け、オフィスカジュアルを意識しましょう。
⑦食事の頼み方
OB訪問は、カフェなどの飲食店で行われることもあります。その時は、注文は基本的にOBの方に任せましょう。メニュー表などを相手に渡し、最初にメニューを選んでもらいます。もし「自分で選んでいいよ」と言っていただけた場合も、OBよりも値段が安いものや手軽なものを注文するのがベターです。しかし注文に迷って時間をかけてしまうようであれば、先輩と同じものを注文すればよいでしょう。
⑧会話のときはメモを取る
会話中は必ずノートとペンを用意し、メモを取りながら進めましょう。メモ用紙やノート、ペンなどの文房具はビジネスシーンでも利用できるようなシンプルなものを選ぶのが無難です。
会話の内容を全部漏らさずメモを取る必要はありません。基本的には相手の目を見ながら、うなづいたり相づちをうち、自分のためになりそうだと感じたことや就活に活かせそうな情報はメモしておきましょう。
目上の方のお話を聞くときにメモを取ることは、これから社会に出て行ったあとにも必要なスキルになります。
⑨去り際のお礼・お会計
まず、OB訪問の時間をとってくださったことへの感謝を改めて伝えます。そして、その日に得られた学びや気づきなどを軽く相手に伝えることができるとよいでしょう。
また、OB訪問を飲食店で行った場合、お食事代を払ってもらうことが多いかもしれませんが、財布をカバンから出して自分で払う意志があることをきちんと示しましょう。OBは社会人だから払ってくれるのが当たり前などと思ってはいけません。払っていただいた場合は、「ありがとうございます」や「ご馳走様です」ときちんとお礼を言いましょう。
3. 訪問後のマナー
⑩お礼のメール
OB訪問が終わり、帰宅の後はすぐにお礼のメールを送りましょう。礼儀としても、今後もよりよく付き合っていけるためにも、お礼のメールは必要不可欠です。
「忙しい中時間をとってくれたことへの感謝」「OBの話に対する感想」などを、気持ちを込めて伝えることが大事です。先輩が「OB訪問を引き受けて良かった」と思えるお礼メールを書くことができれば、今後も相談に乗ってくれる可能性もあります。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?OB訪問の当日の流れにそって、マナーを紹介しました。
マナーを守った誠実な態度は、好印象に繋がります。好印象を持ってもらえれば、『応援したい』という気持ちでより多くの情報を話してくれるでしょう。
ただ、なかには就活で知り合った社会人に個人的に呼び出されたり、採用の可否を匂わせつつ男女関係を迫られたりするという「就活セクハラ」と呼ばれる悪質なケースもありますので注意しておきましょう。
OB訪問は、はじめは緊張してしまうかもしれませんが、実際に気になる企業で働く社員に仕事内容などを聞くことができ、企業や業界について知る絶好のチャンスです。
社会人にOB訪問をお願いできるのは、大学生であるこの時期だけ。
マナーに気をつけながらも、OB訪問を活用して就活の糧にしてください。