近年は減少傾向にあるものの、先輩から圧迫面接の経験談を聞いて、不安を抱く学生が多いでしょう。
「圧迫面接って何だろう。怖いな」
「どうやって対処したらいいのかな」
圧迫面接をよく知らないまま面接に臨んでしまうと、面接官の高圧的な態度に押されて萎縮してしまい、普段の実力を発揮できなかったり、面接がトラウマになってしまう可能性があります。
そこで今回は、圧迫面接とは何かから、その目的、注意点や対策までご紹介します。
この記事を読んで、圧迫面接の対策方法や予防方法を頭に入れてから、就職活動に臨むようにしましょう。
そもそも圧迫面接とは?
圧迫面接とは、企業の採用試験などで面接官が就活生に対して、わざと回答を否定したり、無視をしたり、高圧的な態度をとったりと、通常の面接よりもプレッシャーをかける面接を言います。
このような面接の手法は、企業のイメージを損ねたり、学生が企業への入社を控えたり、精神的苦痛を受けたことによる損害賠償請求訴訟を起こされるリスクがあるため、近年は減少傾向にあります。
就活生側だけが「圧迫面接」と捉えるケースもある
それでも圧迫面接を受けたという話が聞こえてくる背景には、企業側に圧迫面接の意図はないが就活生側が「圧迫面接ではないか」と捉えるケースがあります。
面接というのは、面接する側にも一定のスキルと経験が必要とされます。そのため、経験やスキル不足の面接官の場合は、学生自身をよく知ろうと積極的に質問しすぎて、無意識的に質問攻めをしてしまったり、面接官自身の真面目な顔つきが怖くて睨まれているように感じることもあります。
また、学生にとっては自信のある回答をしたのに、面接官から思うような反応を得られなかったり、突っ込んだ質問をされた場合に、「高圧的な態度をとられた」と受け取り、圧迫面接だと捉えるケースもあります。
このように、面接中に「もしかして、圧迫面接かも?」と思ったときは、3つのことをチェックしてみましょう。
- 意図のある圧迫面接なのか
- それとも面接官との相性の問題なのか
- 自分の回答が伝わりにくかったのか
など状況を俯瞰して見れると良いでしょう。
なぜ圧迫面接をするのか?
減少傾向にあるなかで、あえて圧迫面接をする企業もあります。その目的を把握しておきましょう。
1、ストレス耐性を確認している
圧迫面接をすることにより、「入社後、業務に耐えられるかストレス耐性があるかを確認する」という意図をもって、テストしているケースがあります。
社会に出て働くと、社内の人間関係で悩んだり、取引先から苦情を受けたり、仕事で失敗をして上司から叱責されたりすることもあります。そういった、精神的なストレスに耐えられるかはビジネスにおいては不可欠な能力といえます。
たとえば、ノルマが厳しい業界の営業職や、クレーム対応が必要なサービス業界や情報通信業界などで、圧迫面接があるということも耳にします。(十分なデータに基づいた話ではありません)
仮に「圧迫面接を受けているな」と思った場合も、「面接官は、自分のストレス耐性を確認してるだけ」と考え、いつも通り対応していくことで乗り切りましょう。
2、学生の本音を知ろうとしている
面接では、どうしても自分を良く見せようとする意識が働いてしまい、自分の本音ではなく企業側からみた正解を回答しようとします。
そのため、企業は圧力をかけることで学生の感情を揺さぶり、本音を引き出そうと考えている場合もあります。
3、臨機応変な対応力や思考力があるか知りたい
仕事は必ずしもセオリー通りに進むものではなく、顧客や取引先から予期せぬ対応や質問をされる可能性があります。
そのため、面接官が学生を困らせるような質問や態度を取った際にも取り乱すことなく、即座に対応できる力や思考力があるかを見ている可能性もあります。
どんな圧迫をされるのか?典型的な圧迫面接
圧迫面接の具体的なイメージを理解しておくことで、圧迫面接に遭遇しても落ち着いて対処することができます。典型的な圧迫面接は下記のようなものです。
1、論理型:答えに対し「なぜ?」と繰り返し質問する
回答の理由や根拠について、なぜ?と繰り返して質問されたり、就活生の返答を待たずに質問を畳み掛けたりするケースもあります。
【圧迫面接で聞かれる質問の例】
・どうして?なぜそう思うのですか?
・根拠となる具体的な事例はあるのですか?
・どのように成果を発揮するつもりですか?
・それで? だから? つまり何が言いたいのですか?
このように論理型で詰めて質問される場合は、わざと圧迫している場合もありますが、そうでない場合も多いです。たとえば学生の回答が抽象的であったり、伝わりにくい回答をしていると、面接官が理解をしようとして、質問が繰り返されることもあります。
また、意図的に詰めて質問をしている場合は、学生が用意してきた「正解」を話しているだけなのかを確認するために、圧迫してボロがでないか見極めていることもあります。
2、圧迫型:否定的な発言をする
回答に対して否定的な発言をしたり、聞く態度が悪かったり、怒鳴ったりするケースもあります。
【否定的な発言の例】
・うちの会社には向いてないと思いますよ?
・あなたが当社にもたらすメリットはありますか?
・当社の仕事はきついですよ。あなたはすぐに辞めないですか?
・そのようなやり方は、当社では通用しないと思いますよ。
・それらの長所は、社会人なら当たり前です。自意識過剰じゃないですか?
・その志望理由なら、うちが第一志望ではなくても良いですよね?
このように圧迫型で来る場合は、意図しているのであれば、学生が否定的な発言をされても、冷静に受け止めてから回答できるかを見ているケースもあります。
しかし、ただ単に面接官の価値観に合わないからという理由で、強い口調になっているケースもあります。そのような場合は、入社後は、高圧的な態度の上司や顧客に順応しなければならない職場である可能性があります。
3、無関心型:萎縮させる態度を取る
回答に対して不機嫌そうな態度をとるなど、就活生を萎縮させるような振る舞い方で圧力をかけるケースもあります。
【萎縮させる態度を取る例】
・頬杖をついて聞く
・学生の返答に首をふる
・怒ったように質問をする
・無表情。回答に興味を示さない。
一生懸命に話しているのに、頬杖をついて興味がなさそうに聞かれたり、回答しても「へえ」とだけ言って会話を打ち切られたりしたら、委縮してしまって自分の話に自信がもてなくなるでしょう。
しかし、営業職などでは、無関心な相手でも売り込むためのコミュニケーションを必要とされる場合があるため、その力があるかを見ている可能性もあります。
圧迫面接の対処法は?
1、笑顔で堂々と回答する
圧迫されると、自分を否定されたように感じてしまいますが、そこであえて口角を上げて笑顔を作るようにしましょう。そうすることで、脳が「笑っている」と錯覚して、自然と落ち込みを抑えることができると言われています。
笑顔で堂々と回答することで、「逆境でも明るく前向きに対応できる」「入社後もコミュニケーション能力に期待できる」という印象につなげることができます。
2、質問をポジティブに再変換する
面接官がきつい口調で質問してくる場合も、言葉をそのまま受け取るのではなく、ポジティブな言い回しに変えることを意識すると良いです。
たとえ否定的な発言であっても、「私について、もっと知りたいんだな」「実は、私の考え方に共感してるんだろうな」「もっと私に熱意をアピールして欲しいんだな」と、自分にとって都合よく解釈する、ある意味図々しさも必要です。
3、回答の方向性を確認する
威圧的な態度で質問を繰り返されたりする場合は、「ご質問の回答になっていますでしょうか」などと質問し、自分が質問の意図に沿った回答ができているかを確認することも大切です。
もし、回答の方向性がずれているなどの指摘があれば、「回答を考え直したいので、申し訳ございませんが、ご質問内容をもう一度お聞かせください」など尋ねて、質問の意図を理解してから回答しましょう。
しかし、特に指摘がないのであれば、意図的に圧迫面接をしているだけの可能性が高いので、いつも通り回答すれば大丈夫です。
圧迫面接の注意点
1、感情的に対応しない
圧力をかけられた際に、反抗的な態度をとったり、泣いてしまう学生がいます。そのような感情的な態度をとった場合は、ストレス耐性がないといったマイナスの評価をされる可能性が高いです。なぜなら、ビジネスシーンでは、威圧的な態度の顧客にも冷静に対応する必要があるためです。
できるだけ、感情を抑えて落ち着いて対応するようにしましょう。
もし泣いてしまったり、感情が顔に出てしまったと気づいたら、「少し時間をいただけないでしょうか」と断りを入れて、気持ちを落ち着かせる時間をとるようにしてください。
2、無言にはならないようにする
圧力をかけられると、頭が真っ白になってしまったり、回答する意欲を失う学生もいます。
面接はただでさえ緊張するものなのに、さらに圧力をかけられた状況で萎縮しないようにすることはかなり難しいでしょう。
しかし、ただ無言でいると、質問について考えているのか、それとも無視しているのかが面接官には分かりません。
どうしても言葉が出てこないのであれば、「考えを整理したいため、少しお時間をいただけますか」と伝えるようにしましょう。そして、気持ちを切り替えたら、頭の中で回答を整理してから言葉を発するようにしましょう。
圧迫面接の予防法は?
圧迫面接を受ける前に、予防策を講じておくことも大切です。
そのために有効なのが、OB・OG訪問をして、面接で話す予定の志望動機や自己PRを見てもらう方法です。
面接の回答内容を、事前に社会人の視点でみてもらい、説得力のある回答なのか、志望動機や自己PRが曖昧な内容になっていないかを確認してもらうことが大切です。
そこでおすすめなのが、OB訪問アプリです。無料で登録をすれば、誰でも簡単に社会人とOB訪問のアポイントをとることができます。なかでも「OBトーク」は、社会人ユーザーも多いため、おすすめです。
第三者の社会人に回答を確認してもらうことで、「私の回答はおかしくない」という自信を持てます。そのうえで、面接官が回答を否定してくるのであれば、単に面接官の主観で意見を言っている可能性もあります。そういった場合も、「ただ面接官の価値観を認めさせたいだけなのかも」など冷静に受け止めることができます。
そういった場合も、「たしかに、ご指摘の通りだと思います。ただ〇〇の点を考えた場合、このようにも言えるのではないかと考えました」といったように、面接官の意見を肯定した後で自分の意見を述べましょう。
圧迫面接に耐えられない場合は?
企業側が圧迫面接を意図的に行っている場合、学生を否定するために責めているわけではなく、入社後のミスマッチを防ぐために行っているのだと理解しておくことで、ある程度はストレスが緩和されるのではないでしょうか。
とはいえ、度を越した罵声を浴びせられたり、人権を侵害されるような扱いを受けたと感じた場合、無理をしてまでその場に留まる必要はありません。
学生の立場からすれば、その会社で働きたいと思っているからこそ面接に来ているため、社会人になるのなら、これくらいは耐えなければいけないのだろうと思ってしまうかもしれません。
しかし、仮に圧迫面接を乗り越えて内定をもらえたとしても、入社後も同様の態度で扱われて嫌な思いをしてしまう可能性もあります。その場はやり過ごし、選考を継続するか再考するのも1つの手です。
まとめ
圧迫面接について心構えをしたり、対策を準備しておくことで、もし圧迫面接に会ってしまった場合も「しっかり準備したんだから大丈夫」と自分を勇気づけることもできます。
そして、ある程度は仕方ないと割り切って、笑顔とポジティブを心がけ、できるだけいつもどおりの対応をしましょう。
面接は企業が学生を試す場でもありますが、同時に学生側が企業の理解を深める場でもあります。圧迫面接であっても、自分のなかで納得のいく形であれば問題はありません。しかし、ひどい圧迫面接に耐えられなければ、選考を継続するかを再考する勇気も必要です。
就職活動に対して長期的な目線をもち、「この企業と自分はマッチしているか」を冷静に考えて判断しましょう。